
【「緊急避難」から「殺人罪」へ-正義の天秤 1話】
更新日:2021年10月11日

現実的には、このような弁護をする弁護人はいないが、そこはドラマとして観てください。
元外科医の弁護士・鷹野和也(亀梨和也)。4年前彗星のように法曹界に現れたメジャーリーグ級の弁護士。しかし1年前に忽然と姿を消した。
ある日、師団坂法律事務所のカリスマ弁護士・佐伯真樹夫(中村雅俊)が急死し、彼を呼ぶように遺言書を残していた。
そこから物語は始まる。
(紹介URL NHKより)
https://www.nhk.jp/p/ts/RM4PJL5QGN/episode/te/18WWP2VQY9/
第1話では、外見上刑法37条の「緊急避難」が適用され違法性阻却事由により無罪
または減軽の事件にみえる。しかし鷹野は疑う。
ドラマでは緊急避難の典型例を使っており、最初の方では無罪かと思える。
しかし調査をするにつれ、被告人が殺人の意思をもって故意に船を転覆させ、
その行為と一連の流れにおいて被害者の死因に因果関係があることが明るみになる。
「緊急避難」に見えたのは、殺人の既遂後の事であった。
ドラマでは、判決のところまでは描かれておらず自白のみとなっている。
刑事裁判では、刑事訴訟法319条及び憲法35条により、
自白のみでは罪を科せないので、
証拠が立証されたのち、刑法199条の構成要件に該当する違法且つ有責な行為として、
殺人罪が適用される。
法廷内の映像を見る限り裁判員がいるので、論点は違うと思われるが、
最初から検察官は「殺人罪」で公訴していた設定のようだ。
刑法37条(緊急避難)
1項
自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2項
前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
※2項の部分の論点はここでは省略します。
刑法199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する
刑事訴訟法319条
1、強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
2,被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
3,前2項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。
憲法35条
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
強制、拷問若しくは脅迫の下での自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。