
【タイ刑法解説1】

タイの現行刑法は、1957年から施行されている。
ここでは日本の刑法との違いを述べることとする。
日本での法では通常第1条に目的や趣旨を述べることとなっているが、
タイの刑法は、文言の定義を述べている。
例えば、1条11項には『「署名」とは本人の指印または印標をも含む』などと書かれている。
ここで日本の定義と少し違うと思われるのは、18項である。
タイ刑法第1条18項には、『「性交」とは自己の性器をを用いて、他人の性器、肛門または口腔に侵襲すること』と大雑把な定義になっているところである。
日本の刑法では、厳格な罪刑法定主義から、厳格に言葉の定義を解釈しており、
上記の場合には、「性交」「肛門性交」「口腔性交」と分かれている。
結果的には、3つとも刑法第177条の「強制性交等罪」の中の構成要件に該当するので
同じようなものではあるが、
タイの刑法第1条18項は、日本の刑法でいう『性交「等」』にあたり少々違和感がある。
刑罰については、タイ刑法18条で「死刑、懲役、拘留、罰金、没収」となっている。
日本と違うところは、死刑、懲役、拘留、罰金は同じだが、「禁錮」「科料」がない。
労役があるかないかと、金額の範囲の違いだけだからほとんど同じようなものではある。
しかし、日本において「没収」は主刑ではなく、あくまで付加刑である。
つづく...