
【タイ最高裁、王室改革の訴えは違憲】

タイ憲法裁は、2011年11月10日、「国王を元首とする民主主義体制を打倒する権利と自由は行使できない」
として、王室改革の訴えは違憲とした。デモ活動も禁じた。
タイ最高裁、王室改革要求を違憲判決 「立憲君主制の転覆図る」
https://news.yahoo.co.jp/articles/fb4eb30b844eea732aeb909aa10bb234095e43aa
(Yahoo Japanニュースより)
これについては、私は、タイ国民ではないので当事者ではなく、訴えの利益ある第3者でもないので、
とやかく言う術を持たない。
日本でも明治憲法下では天皇は、「元首」であり、「統治権の総覧者」であったので、
同じような判決が出たかもしれない。
しかし、現行憲法下では、1条「象徴」、3条「内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ」、
4条「国政に関する権能を有しない」という地位から同じような問題は起こらない。
また、皇室典範21条「摂政は、その在任中、訴追されない。」、憲法5条「摂政は、天皇の名で」を根拠に
天皇は刑事訴追されない。
民事責任においても『記帳所事件』において、「「天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることにかんがみ、天皇には民事裁判権が及ばないものと解するのが相当である。」として、民事事件の被告とはならない。
天皇は、裁判の相手方である「被告人」または「被告」となることはないのだ。
ただし、刑事事件において天皇は、刑法232条2項を根拠に内閣総理大臣が代理として告訴できる。
(参考)
刑法232条
2項 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。
思うに、今回のタイのような事件が起きたら、日本の裁判所は、「極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外にある」とか
「立法府である国会で議論すべきこと」として司法権の限界を唱えそうである